相続した土地を5年以内に売却する注意点とは?
土地の相続から5年以内に売却する際の注意点
土地を相続してから5年以内に売却する際は、「所得税」と「住民税」の税率に注意が必要です。これらの税率は、不動産の所有期間に応じて変動します。所有期間が短いほど税率が高くなる仕組みです。
不動産の所有期間による税率の違い
相続した不動産の所有期間は、**相続開始時点ではなく、相続した後の「所有期間」**が基準となります。この期間により、以下のように区分されます。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% |
5年超(長期譲渡所得) | 15.31% | 5% |
例えば、評価額が高額な土地を相続した場合、**長期譲渡所得の税率(5年超)**のほうが税負担を大幅に抑えられるため有利です。
ただし、社会問題となっている所有者不明の土地などの早期売却を促すため、優遇措置が設けられているケースもあります。詳細は後述する特例や優遇措置をご確認ください。
相続した土地を売却したほうが良いケース
次のような場合は、相続した土地を速やかに売却することが推奨されます。
売却することで節税や相続手続きの簡略化が図れるため、該当する場合は早めの判断が必要です。
- 相続税の納税資金が確保できない
- 共有状態で遺産分割が複雑化している
- 相続税の特例を利用したい場合
※相続税申告期限の翌日以後3年以内に限り適用 - 土地活用が難しい
また、土地を共有状態のまま売却して現金化して分割することで、登記費用を節約できるメリットもあります。
土地を売却するまでの基本的な流れ
相続が発生してから土地を売却するまでには、以下のようなプロセスを踏みます。
スムーズな手続きを進めるため、各ステップを事前に把握しておきましょう。
- 遺言書の確認
遺言書がある場合はその内容に従い、家庭裁判所で検認手続きを行います。 - 相続財産と相続人の調査
財産の全容と相続人を確定させます。プラス財産(不動産や預貯金)とマイナス財産(借金や未払金)を整理します。 - 遺産分割協議
有効な遺言書がない場合は、相続人全員で協議を行い分割方法を決定します。 - 相続登記申請
名義変更を行い、土地を売却できる状態にします。 - 相続税の申告
相続開始から10ヶ月以内に、相続税の申告を行います。 - 土地の売却
不動産一括査定などを利用して買い手を探し、売却手続きを進めます。 - 確定申告
売却による所得が発生した場合、翌年の確定申告が必要です。
土地売却で課税される税金の種類
相続した土地の売却に伴い、以下の税金が課されます。
1. 相続税
基礎控除を超える場合に課税されます。計算式は以下の通りです。
課税遺産額 = 遺産総額 - 基礎控除額
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 相続人の人数)
2. 譲渡所得税
土地の売却益に課税されます。所有期間に応じた税率が適用されます。
譲渡所得 = 売却価格 - 取得価格 - 譲渡費用
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 所有年数に応じた税率
譲渡所得税がいくらか計算したい方は、まずは土地の売却価格を把握する必要があります。
以下のサイトを使えば1分で目安の売却価格を算出することができます。
3. 印紙税
不動産売買契約書の作成時に発生する税金です。売却金額に応じた金額が課されます。
売却金額 | 印紙税額 |
---|---|
10万円以下 | 非課税 |
500万円以下 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円以下 | 20,000円 |
4. 登録免許税
相続登記時に課され、不動産評価額の0.4%が税率として適用されます。