相続人が認知症のときはどうする?相続で損しないポイントもご紹介
相続人が認知症のとき使える制度
相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議を進めることができなくなります。遺産分割には相続人全員の同意が必要ですが、認知症で判断能力が不十分な相続人は、法律上意思表示ができないとされるためです。このような場合に利用できるのが、成年後見制度です。
成年後見制度とは
成年後見制度は、判断能力が不十分な方を法的に支援するための制度で、家庭裁判所が後見人を選任し、本人の財産や法律行為を保護します。相続手続きでは、認知症の相続人に代わって後見人が遺産分割協議に参加することで、スムーズに手続きを進められるようになります。
成年後見制度には以下の3つの種類があります。
- 後見(判断能力がほとんどない場合)
認知症が進行し、遺産分割協議に関する意思表示が全くできない場合に適用されます。 - 保佐(判断能力が著しく不十分な場合)
日常的な判断は可能でも、遺産分割のような重要な行為について判断できない場合に適用されます。 - 補助(判断能力が一部不十分な場合)
比較的軽度な場合に利用され、本人の判断を補助する形で適用されます。
成年後見制度は、本人の利益を守るための制度であり、後見人が家庭裁判所の監督を受けながら、財産管理や協議を適切に行います。
成年後見人を立てる流れ
成年後見人を立てるには、家庭裁判所を通じて一定の手続きを行う必要があります。以下は具体的な流れです。
1. 家庭裁判所への相談
相続人が認知症で遺産分割協議に参加できない場合、まず家庭裁判所に相談します。この段階で、後見人選任の必要性や手続きの流れを確認します。
2. 必要書類の準備
成年後見開始の申立てには、以下の書類を準備する必要があります。
- 申立書
成年後見を申し立てる理由を記載します。 - 本人の診断書
認知症など判断能力が不十分であることを医師に証明してもらう必要があります。診断書の書式は家庭裁判所指定のものを使用します。 - 財産目録
本人が所有している財産(不動産、預貯金、負債など)の詳細を記載します。 - 親族関係を証明する書類
戸籍謄本や住民票などを提出します。
3. 家庭裁判所への申立て
必要書類が揃ったら、家庭裁判所に提出し、正式に成年後見の申立てを行います。この際、申立費用として印紙代や郵便切手代が必要です。
4. 家庭裁判所での審査
家庭裁判所が申立内容を審査します。審査では以下の点が確認されます。
- 本人の判断能力の程度
認知症などで判断能力が不十分であることが確認されます。 - 適切な後見人の選任
家族や第三者の中から、本人の利益を守れる適切な後見人が選ばれます。
5. 後見人選任の決定
家庭裁判所が成年後見人を正式に選任します。選任後、後見人は法的な代理人として相続手続きや財産管理を行えるようになります。
6. 後見人の活動開始
選任された後見人は、以下のような業務を行います。
- 遺産分割協議への参加
他の相続人とともに協議に参加し、認知症の相続人の利益を守ります。 - 財産管理
遺産分割が完了するまでの間、認知症の相続人の財産を適切に管理します。
後見人の活動は家庭裁判所の監督下で行われ、定期的に報告を行う必要があります。
まさかの借金?まず確認すべきこと
相続する前にで必ずしてほしいこと。
それは財産調査です。
なぜなら、相続=借金やローンなどマイナスの財産も含めてすべて相続してしまうから。
法律でプラスの財産だけ受け取ることはできません。
そのため、財産調査を十分に行い、全体の財産状況を把握した上で判断することが求められます。
財産としては主に以下のものが挙げられます。
- 預貯金(銀行・信用金庫・郵便局など)
- 不動産(土地・建物)
- 株式・投資信託
- 生命保険(契約者と受取人の確認)
- 自動車
- 貴金属や宝飾品
- 借金やローン
すべてを調査したうえで、
プラスの財産>マイナスの財産
であった場合は、遺産分割を進めて問題ありません。
財産調査で問題になるのは不動産
財産調査を行う際に問題になるのが不動産です。
なぜなら不動産は、まったく価値がない負動産のリスクがあるためです。
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もし負動産だとわかったら・・・
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