限定承認とは？デメリットとまずすべき1つのコト

限定承認とは

限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産（負債）も引き継ぐという手続きです。

相続でマイナスになる場合でも、相続人の負担はゼロになります。

もちろん、プラスの財産がマイナスの財産より多ければ、相続人の手元に遺産が残ります。

以下でわかりやすく説明します。

プラスの財産の方が多いケース

• プラスの財産：1,000万円
• マイナスの財産：600万円

この場合、1,000万円 – 600万円 = 相続財産 400万円

なので、相続人には400万円の遺産が残ります。

マイナスの財産の方が多いケース

• プラスの財産：1,000万円
• マイナスの財産：1,400万円

この場合、1,000万円 – 1,400万円 = 相続財産 -400万円

ですが、限定承認ではプラスの財産を限度として負債を引き継ぐので、この400万円を支払う必要はありません。

このように、万が一マイナスの財産が超過しても借金を負うハメにならないのが限定承認です。

限定承認のメリット・デメリット

ここでは、限定承認のメリット・デメリットを解説します。

メリット

負債を負うリスクがない

こちらは先ほど説明した通りです。

借金が財産を上回る場合でも、プラスの財産以上の負担を負う必要はありません。

特定の財産を守れる

限定承認では、財産を相続人が優先して取得する権利（先買権）が認められています。

具体的には、家庭裁判所が選任する鑑定人による評価額で、その財産を自身の資金を用いて買い取る仕組みです。

自己資金の準備が必要ですが、大切な財産を確保できる点は大きな魅力です。

デメリット

相続人全員が同意する必要がある

限定承認は、相続人全員で行うことが前提です。

単純承認や相続放棄のように、相続人個々が自由に選択できるわけではありません。

そのため、すでに単純承認を選択している相続人がいる場合は限定承認を活用できません。

手続きに時間と労力がかかる

限定承認を行うには相続人全員の申請が必要になります。

ですので、相続人を正確に特定することから始める必要があります。

また、相続人全員の同意が得られない場合、説得や協議が必要になるため、時間と労力を要します。

受理後も追加の手続きが必要

裁判所に限定承認が受理されると、遺産を基に負債の弁済を進めるため、公正な清算手続きが求められます。

官報で公告を行い、債権者からの申し出を受け付ける必要があり、この過程で1年以上かかる場合も少なくありません。

限定承認を使う3つのケース

限定承認は以下のようなケースで有効です。

• 相続財産がはっきりしない場合
• 特定の財産を残したい場合
• 事業を継ぎたい場合

限定承認の前にすべきこと

限定承認について考える前に、まずは遺産をチェックしましょう。

トータルで財産がプラスの場合、めんどうな手続きを取る必要はありません。

財産としては主に以下のものが挙げられます。

• 預貯金（銀行・信用金庫・郵便局など）
• 不動産（土地・建物）
• 株式・投資信託
• 生命保険（契約者と受取人の確認）
• 自動車
• 貴金属や宝飾品
• 借金やローン

すべてを調査したうえで、

• プラスの財産＜マイナスの財産

であった場合は限定承認を選択すると良いと思います。

財産調査で問題になるのは不動産

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